神田のオーラル・ヒストリーVol.1~ 長谷川護さん「神田祭とわたし」

by 管理者
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神田で生まれ育ち暮らす人たちにとって、神田祭はどのような意味を持つのでしょうか?

神田で生まれ育ったオーラルヒストリー活動発起人の長谷川さんに、幼少期からの神田祭との関わりや、今回初めて花棒担ぎに挑戦された想いを伺いました。(2023年5月28日収録、聞き手:ちよだコミュニティラボ迫田

長谷川 護さん

2000年生まれ。東京都神田にある稲荷湯の3代目
神田のオーラル・ヒストリー活動発起人
先頭をゆる~く哲学するメディア「湯の輪らぼ」を運営

 

神田祭との関わり

迫田さん(以下、迫田): 長谷川さんは生まれも育ちも神田だと伺ってますが、初めてお神輿を担がれたのはいつですか。
長谷川さん(以下、長谷川):初めて担いだのは、ちょっと記憶にないですね。物心つく前から多分神田祭には参加していて、神輿にも小学校から入っていた(担いでいた)のかなって記憶しています。 大人神輿に(初めて)入ったのは、多分中学校1年生のときだと思います。
迫田:小学校からお神輿を担がれていたのですね。神田祭には毎回参加されていたのですか?
長谷川:そうですね、毎回参加をしていたんですけど、中学校1年生のときは部活があってなかなか参加できなかったり、高校2年生のときにはアメリカに留学をしていたので参加できなかったんですよね。でも、僕が留学をしている時には、うちに(カナダから高校生の)留学生がホームステイをしていたので、その子が僕の代わりに町会の活動とかをやっていたようです。
迫田:あの長谷川の法被を着て
長谷川:そうですね
迫田:そうなんですね、部活だったり留学だったりでちょっと間を開けつつ、定期的に参加されていて、今回コロナもあって4年ぶりの開催でしたよね。神田祭への思いや関わり方に何か変化はありましたか。
長谷川:コロナ前をあんまり覚えていないんですけど、コロナ前と大きく変わったことは、今回の神田祭では店(実家の銭湯)をすごい手伝ってたんですよね。ただただ(お神輿を)担ぐっていうだけではなくて。
うち(銭湯)は日曜日が定休日なんですけど、神田祭のときは特別に日曜日も営業することになっています。うちの前(の公園)には神酒所ができるので、うちの町会とか、近隣の町会ではお風呂券が配られるので、お神輿が終わったらその人たちがどっとお店に押し寄せるんですね。
あとは年明けから、今年は神田祭ができる、できそうだということで、神田明神に入る宮入の順番が、うちは何番目になったみたいな話を家庭内やお店のお客さんとしていて、何かだんだん盛り上がってきている感じがしていましたね。
迫田:そうですよね、神田祭ってあの3日間のイメージがありますけど、そこに至るまでに、それこそ今の話で言うと、年明けからもう動き始められて、直前になるともう多分毎週毎週、皆さんで集まってお話されて。かなり準備も入念に進められている感じですね。
長谷川:そうですね。(町会の)青年部であったり婦人部であったり。父親が町会の人に「大学生だから今年はまだ参加しなくていい」って言ったらしくて、僕は今年は青年部に参加していなかったんですけど、話は聞いてました。うちの前にできる(神酒所の)テントもだんだんできていってるなっていう感じもしていました。

宮入の花棒担ぎ

迫田:今年は、お神輿も担がれたんですよね。
長谷川:はい、担いでましたね、大人神輿を担ぎましたし、あとは小神輿のお手伝いとかもしました。
迫田:大人神輿では、今回の宮入りの際に花棒¹を担がれたと聞いたんですけれども、花棒を担ぐ事になった経緯を教えていただけますか。

¹花棒とは、お神輿の真ん中の棒のことを指します。長谷川さんの町会では真ん中にある2本の棒を花棒と呼んでいるようです。

長谷川:僕は元々、小神輿の手伝いをしながらの宮入りを考えていました。
今回のお祭りで、僕は写真とか映像を撮ったり、小神輿の手伝いをしていたりしたので、小神輿で入ろっかな思ってたんですけど、ちょうど神田明神に上っていく坂のところで、そんな僕を見た青年部の人から
「お前次回から青年部²やるんだったらとりあえず今回(宮入りの時に)花棒担いどけ」
みたいに言われて(笑)。
(青年部をやっていると)次回以降宮入りでは担げないんだからっていうことで、「宮入はお神輿を花棒で担ごう」って思いました。

²町会の中の組織の一つ。町会ごとで役割は違うが、長谷川さんの町会では神田祭で運営を担当しているようです。

迫田:花棒ってそれこそ神輿の花形だと思うのですが、そういうふうに「お前担げよ」みたいな感じで、花棒のポジションを取れることって多いんですか。
長谷川:どうなんでしょう。
地元の人は多分知り合いがいるので、そういうことはあると思うんですけど、そうでなければ難しそうだと思います。
特に宮入の花棒なんて、担ぎたい人は多いけどなかなか入れないところだなって感じます。
迫田:今回私も神田祭に参加してたんですけれども、本当に宮入のときに花棒にいらっしゃる方々って強靭な肉体をお持ちで、花棒を拳で勝ち取ったようなイメージがありました。
なので、長谷川さんのように「お前来年は青年部で担げないから今回担いどけ」と、周りから勧められて宮入の花棒を担げるのは意外でした。
長谷川:そうですね。あと僕はさっき言ったように撮影をしていたのでカメラとか携帯とかを持っていたんですけど、母親に
「宮入で花棒を担げって言われたんだけど」 って伝えたら
「とりあえず3発ぐらい殴られる覚悟でいなよ」
「携帯とか持ってたら失くすから、これは私(母)が持ってるね」
っていうふうに言われました。
僕は普段眼鏡をかけていますけど、眼鏡も母親に預けて、臨戦態勢を整えて、宮入に向かいました。
基本的にうちの町会の青年部は、お神輿がちゃんと前に進むようにとか、早く進みすぎないように押さえたりとか、そういう調整役に回っていたりします。
迫田:本当に青年部に入る前の最後のチャンスみたいな感じなんですね。
宮入りのときの花棒というのは今回初めてだったんですか。
長谷川:そうですね、宮入自体、大人神輿でいることが初めてですね。
2019年はたしか小神輿で参加していたと思います。我が家は、留学生のホストファミリーをすることもあるので、留学生とか、留学生の知り合いを神田祭に呼ぶこともあるんですね。その子たちは宮入のときに小神輿の手伝いをしてくれるので、前回は僕もそこに一緒にいた感じだったと思います。
迫田:初めて大人神輿で宮入りで、かつ花棒を担いでみて、どのように感じられたかをぜひお伺いしたいです。
長谷川:母親に「3発ぐらい殴られる覚悟でいろ」って言われていたので、戦場だと思って臨みました。
宮入をする前には、それまでにはなかった緊張感が走っていました。みんな、自分たちが宮入りの時に花棒を担ごうと戦略を考えていたのだと思います。なので、地元で育った僕は何がなんでも担いでやろうと思って、担いでいました。
迫田:花棒を担いだらそれで安心じゃなくて、ポジションも少しずつ変わったりするんですよね。
長谷川:そうです。なので、神輿って、基本的には多分、棒の後ろの方からどんどん前の人が出ていく感じだと思うんですよ。
うちの町会も基本的には多分そうやって動いてたんですけど、最後、神田明神を前にしたとき、境内の中に入って、お神輿を置く直前とかはもうなんか、特定のグループの人たちが一番前で自分たちのグループだけで回してるんですね。

外から見るとすごい華やかに見えるようなお神輿でも、お神輿の内部だとすごい色々起こっているんだっていうのを感じながら、お神輿を担いでいました(笑)
迫田:ありがとうございます。ちょうど時間になりましたので、ここで以上とさせていただきます。ありがとうございました。

質疑応答

町会ごとの違い
三科:私のいるところですと(宮入りの)花棒は青年部が担ぐでしょうね。
迫田:町会ごとに青年部の役割もちょっと違っているんですね。
長谷川:青年部だけじゃなくてお祭りのやり方、全然違いますよね。金曜日にお神輿をうちの町会は出していますけど、出してないところもありますし、
矢部:広瀬さんのところはどうなんですか。
広瀬:今、お神輿の話が出たんで、私の知ってる範囲でお話すると、まず町会員だけじゃ多分神輿は人数的に上げられないと思います。なので神輿会、友好団体の会とうちの町会はもう昔からのお付き合いで、フィフティフィフティのお付き合いをさせてもらってます。
神輿会の方もいろんな神輿会がいるんですよ。うちの神輿会で監事とされてる神輿会が一つありまして、そこが友好的な付き合いをしてる他の神輿会の人を呼んできています。
自分が青年部のときは、協力してくれている神輿会の主催するお祭りにお呼ばれされて、行くんですよ。
そういうことで、お互いにエールの交換じゃないけど、向こうの神輿会の方の主催する神輿を担ぐことで、運営の仕方とか、押さえ方とか、さっき言った青年部さんがやってるようなことは非常に勉強になります。それはもう、肌で感じる勉強、体験ですよね。
貴重な体験だったので、ぜひ長谷川さんもされた方がいいと思います。
いろんなあの会のあの神輿を担いでみて、どういうふうにしたらいいかって運営側として、第三者として見るってのはすごい勉強なんですよ。
長谷川:はい。親も他お祭りにもお神輿を担ぎに行ってたようなので、他のところに行くと勉強になるよって言ってます。

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